弁護士の仕事と報酬|過去のイメージと現在の弁護士の違い

弁護士の仕事と報酬|過去のイメージと現在の弁護士の違い

BUSINESS 2018.09.23

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高給でエリートというイメージの弁護士の現在

今まであこがれの職業のひとつであった弁護士。日本で最難関の司法試験を合格し、弱者のために強者にも闘いを挑む、正義感の強いエリート。というのが今でも私たちの持っている弁護士のイメージですが、本当のところ、現在ではどのようなのでしょうか。
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弁護士になるには厳しい道を通る必要がある

弁護士になるには、法科大学院を卒業することが現在最も現実的でしょう。
その中でも法学既修者の水準にあると認められた人(法学部で既に法律学を学んだ、法律系のための国家資格受験のために勉強をしていた)向けの法科大学院の既修者コース(2年間)と法律系の知識がない人向けの未修者コース(3年間)のふたつのコースが存在します。

法科大学院の既修者コースに入学するためには3年以上の勉強が必要といわれています。未修者コースに入学するのはそれほど難しくないといわれていますが、そこからは、既修者に追いつかなければなりません。

既修者に未修者が追いつくのは大変です、既修者コースに入れなかった人はそれなりの覚悟が必要でしょう。
司法試験に合格すれば司法修習生となり1年間勉強するのですが、その中で司法修習考試を2回合格しなければなりません。
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弁護士の仕事とは

弁護士といっても新人のときは苦労します。就職活動から実務を覚えることまで、やることはいっぱいです。最終的には、独立開業が夢でしょうか。

まず就活を行うのが一般的

司法修習を終えて、入会しようとする地方の弁護士会を通じて日本弁護士連合会の弁護士名簿に登録されれば、弁護士として活動することが出来ます。しかし、いきなり独立して弁護士事務所を構える、というのは少し冒険かと思います。

通常は、別の弁護士が経営している弁護士事務所に勤務して、実務の腕を磨くことが一般的です。その弁護士事務所を選ぶにはこのあと、自分がどのような事件を担当する弁護士になりたいかを考える必要があります。例えば、早くひとりで法廷に立てるように経験を積みたい、英語力を生かして国際弁護士になりたい、テレビに出てくるような、人権活動をライフワークにしたいなど、就職先も絞られてくるのではないでしょうか。

仕事は大きく分けて2つだが例外もある

弁護士の仕事は大きく分けると民事事件対応と、刑事事件対応があります。このうち、通常は民事事件を日常業務として取り扱い、刑事事件は国選弁護人の担当が回ってきたときと、特別に依頼があったときだけというのが一番多いでしょう。

民事事件は、契約の争いや取引の紛争、破産、離婚や相続など、いろいろな事件があります。弁護士に持ち込まれる仕事も多岐にわたるのに対し、刑事事件では、そもそも被告人の知り合いに弁護士がいるということはあまりないと思われ、刑事事件は国選弁護人に頼りがちなことが多いということです。
例外的な仕事としては大事務所に所属していると、M&Aのような企業法務に関われることもあります。

弁護士として独立する

弁護士を目指す人が、誰もが一度は夢見るであろう弁護士としての独立開業ですが、どんな起業でも同じように、用意と資金は周到にしておいたほうがいいでしょう。

過去の弁護士が少なかった時代でしたら、紹介だけで充分事務所が運営できたかもしれませんが、現在のように弁護士過多の時代では紹介だけではやっていけないのがほとんどだと思います。ですので、紹介に頼らず自分で仕事を探す、作る必要があるでしょう。弁護士にも営業努力が必要な時代が来ていると感じます。
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弁護士の仕事でのやりがい

弁護士は、法律の知識という、民主主義社会ではある意味最も強い武器を持っています。弁護士はそれを持って何と戦うのでしょうか?

弁護士の働き方は自分次第

弁護士は、どんな働きかたをしようと、自分の自由です。生活に困っている人や暴力団、サラ金などに脅されている人を助けることを生きがいにしてもいいですし、反対に大きな企業間買収などのプロジェクトに関わり、高額な報酬を得るのもその人の生きかただと思います。

それを実現にするには、やはり自分の実力が伴わないと実現できません。毎日が勉強で、自己を高める努力が必要でしょう。

弁護士の仕事は人から感謝される

弁護士の仕事は、民事事件でも刑事事件でも人から感謝されることが多いです。特に刑事事件などは突然起こるものですから、周りの人や親族も気が動転して大変なことになっています。そこを務めて冷静に対処してくれる弁護士は大変ありがたい存在に違いありません。

事件が無事終結して、もし示談で済んで裁判にならなかったりしたらそれだけで非常に感謝されるでしょう。
民事は民事で、弁護士に相談するころにはとんでもなくこんがらがっていて、感情的に対立してしまっている状態だったりすることもあります。

そのもつれた糸を解決してくれたら当事者はとても安心して、弁護士に感謝するでしょう。弁護士とは、人助けのできる職業なのです。

弁護士の仕事は社会正義の実現

弁護士法第1条1項は、「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。」とうたっています。
基本的人権はなんとなくわかるとして、社会正義とは何でしょうか。それは力の強い者、またはそれに従う者が常に勝つ社会ではなく、正当な権利を有する者が勝つ社会の実現ではないでしょうか。

裁判所でお互いに弁護士を立てて権利を主張するのも、どちらに正当な権利があるかを裁判所という中立な第三者機関に決めてもらうことで、弁護士が社会正義の実現に参加していると言えるのではないでしょうか。

ところで、弁護士が社会正義のために存在するということを勘違いして、正義のためならタダ働きをしてもらえると思っている人も一般の人にはいるようです。いろいろな人がいるものです。
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弁護士の仕事は過去と変わった

過去の弁護士は仕事を待っていれば紹介などで、十分に仕事がありました。弁護士が少なかったためそれで仕事が回ってきたのです。しかし、現在の弁護士は事件の数に対して弁護士が多くなりすぎました。今は黙って座っていれば食べていける時代ではないのです。

弁護士の仕事は競争が激しい

弁護士の数は、法科大学院の設立後、急激に増加しています。もともと、足りないと言われていた弁護士の数を増やすためにそうした改革が行なわれたのですから当然ですが、弁護士人口が増えるということは、ひとり当たりの事件数や報酬が減ることを意味します。

2016年の所得データでは、開業後5年以上10年未満の弁護士の報酬が2006年では平均1,419万円だったのが、2014年では平均742万円だったということです。ほぼ半分です。
それから、日本弁護士連合会が作成している「弁護士白書2015」に載っていた数字を紹介しますが、2006年の弁護士数は22,021人で平均取扱事件数が40.57件、2014年は35,045人で平均事件数は33.89件。1人当たりの平均事件数も減ってます。

弁護士の仕事は営業力が重要

弁護士といえば文系の頂点です、そこまで言っていいのかどうかわかりませんが、法律の勉強ばかりしてきた人がほとんどでしょう。その人が急に事務所を立ち上げたとしてもお客さんが来るはずがありません。なぜなら、営業ができないからです。この点は民間企業の飛び込み営業で鍛えられた人たちには全然かないません。

これでは食べていけないと公務員になる人もいます。差し押さえ案件などに重宝がられていいるようです。営業ができないなら、インターネットで離婚問題なら当事務所に、という感じで得意分野をアピールすればいいのでしょうが、理系ではないので、それも難しいようです。

仕事がない弁護士

弁護士の数が急激に増えすぎた結果、まず法律事務所に就職できる弁護士が減り、経験を積むことが出来なくなってしまいました。事務所に就職できないからと、独立しても、せいぜい普通の法律事務所では扱わないような小さな案件しか回ってきません。そのため収入は無く、アルバイトを掛け持ちしてやっと暮らしていける弁護士もいるとのことです。
2004年の法科大学院の志願者は72,000名だったのが、2014年は11,000名に激減していて、学生の新規募集を止めたところもあるのです。今の弁護士の現状を見れば当然です。
辞書

弁護士にも格差が広がっており仕事のない弁護士も増えている

問題は、弁護士さえ増やせば、今まで訴訟などにならなかった事件も増えて質のいい法的サービスが頼みやすくなると考えていたことです。
日本は、アメリカのような訴訟社会とは違いました。

弁護士が増えても、訴訟案件などの事件数はそれほど増加しなかったのです。そのため、仕事は、全国にCMを出せるような大手法律事務所に集中し、大手はどんどん伸びていくのに対し、個人事務所では対抗できずに仕事が激減し、若手を雇うこともできず、若手は就職の機会を失い仕事にあぶれる、ということになっています。このままでは、弁護士になる人も減っていってしまいそうです。

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