景気動向指数について知ろう|経済を把握するための総合指標

景気動向指数について知ろう|経済を把握するための総合指標

LIFE STYLE 2019.03.15

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株価の予測にも影響する景気動向指数

株投資の初心者から上級者まで、景気を判断することは投資においてとても重要です。日本経済に直接影響する事柄であり、常に注目されます。しかし「そもそも景気ってなに?」「景気動向指数ってどう見るの?」と基本的な疑問が解決されないままだと、数値だけ知っても活用しようがありません。

「何となく景気がよさそう」というあいまいな判断を避けるためにも、景気のことを総合的に把握できる景気動向指数について詳しく知ってみませんか。この記事では、景気動向指数やそれ以外の景気を把握するための指標について解説します。

そもそも景気とは

「景気が良いとき」や「不景気な状態が続いている」など、日常的に使う「景気」という言葉について、もう一度確認しておきましょう。

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景気が表しているもの

景気は「経済活動全般の動向」のことを指す言葉です。景気が示すのは、日本全体の商売がうまくいっているかどうか、ということです。これは個人の会社ではなく、あくまで日本全体の状態を指します。たとえ好景気であっても倒産する会社はもちろんありますし、不景気の中で急成長する会社もあります。

しかし「日本全体で見ると商売がうまくいっているかどうか」で判断した方が、より多くの会社やそこで働く人に利益が多く生まれるため、景気については政府も非常に敏感に反応します。

景気がいいとはどのような状態か

さて、その景気がいいとはどんな状態か、具体的に考えてみましょう。

景気が良いと、物やサービス売れます。すると、サービスや物を扱うその企業の業績が向上し、従業員の給料が増えます。従業員はその給料で物を買い、サービスを受けると、たとえ自分の企業でなくとも他の企業の業績向上につながります。するとまた、その企業の従業員が物やサービスを購入し、お互いによりよく消費が進みます。

 

この好循環を「景気がいい」と表現します。好循環が続くと景気上昇に伴い物価上昇も起きますが、従業員や企業の収入も増えているため、消費者として購入する際には特に困りません。

景気が悪いとはどのような状態か

逆に、物やサービスが売れず企業側の業績が上がらないために、個人の所得が増えず循環が活発に行われていない状況を「景気が悪い」と表現します。

そもそも個人の所得が少ないため物が売れないということもありますが、人々が国の将来に不安を感じ「消費に消的的になる」ほか「なるべく貯金する」ために景気が悪くなるという場合もあります。景気に「気」という文字が使われているように、その時の世相も大きく反映されているのです。

 

しかしこれは普段の生活で見えるものでもなく、かつ、突然起きるケースも考えられます。すると景気の良い悪いについて、自分自身が気分的に感じているものだけでなく、数値的に判断した方が株取引においてはより確実な場合もあります。そのために活用できる数値の1つが「景気動向指数」です。

 

景気動向指数について

景気動向指数は、簡単に言えば「日本の景気を総合的に判断した指標」です。様々な景気に関する指標を総合して指数化しているため、日本全体の景気の動向を把握する際に役立ちます。

景気動向指数が表しているもの

内閣府経済社会総合研究所が毎月発表している「景気動向指数」は、あらゆる統計資料を合成することで経済の動きを把握することを目的としています。たとえば費用が莫大になりやすい住宅の着工数や、求人倍率など、29個の基礎指数が反映されています。

景気に対し「今」「未来」「過去」の3つのタイミングでそれぞれ反応する「一致指数」「先行指数」「遅行指数」の3つから成り立ち、このうち「一致指数」が50%を上おおむね3か月回れば景気は上昇傾向、反対におおむね3か月以上50%を下回れば下降傾向と把握されます

それでは3つの景気指数について、詳しく見ていきましょう。

①一致指数

景気に対してほぼ一致して動くことから、景気の現状把握に使用される指数です。「所定外労働時間数」や「有効求人倍率」など、9系列の指標から統計的に指数化されます。今現在の景気を知りたいときにチェックしたい指数です。

②先行指数

一致指数より先行して変動する指数であり、一致指数にも影響を与える指数です。一致指数より数か月は先行しているとして、景気の先行き予想には欠かせない指数です。たとえば「新規求人数」や「東証株価指数」など11系列が反映されます。株価の予測や経済の予測に多く用いられる指数です。

株式は景気が上向きになりそうと予測され、多くの人が買いはじめたときに、上昇し始めます。こうなると企業はより多くの人を雇うために求人数を増やします。つまり景気の上向きを予測して動きます。

③遅行指数

一致指数の影響を受けて変動する指数であり、そのため一致指数の妥当性の確認に用いられます。景気の影響を受けて変動する指数より判断されるため、法人税収入や家計消費支出、消費者物価指数などが反映されます。このため、半年から1年ほど遅れて反応します。

したがって、現在の景気の状況がどのあたりから転換したのか、上昇し始めたのはいつ頃なのか、といった見方をする際に使われます。遅行指数のプラスが続いているようなら、好景気が継続していると分かりますが、反対にマイナスの場合は景気が悪化しはじめていることが分かります。

景気指数一覧

以下は景気指数を判断するための基礎指数を、示す指数ごとに2018年11月時点の系列を表としてまとめたものです。こうした様々な数値から、景気指数が導き出されています。

  先行系列 一致系列 遅行系列
1 最終需要財在庫率指数(逆サイクル) 生産指数(鉱工業) 第3次産業活動指数(対事業所サービス業)
2 鉱工業用生産財在庫率指数(逆サイクル) 鉱工業用生産財出荷指数 常用雇用指数(調査産業計)
3 新規求人数(除学卒) 耐久消費財出荷指数 実質法人企業設備投資(全産業)
4 実質機械受注(製造業) 所定外労働時間指数(調査産業計) 家計消費支出(勤労者世帯、名目)
5 新設住宅着工床面積 投資財出荷指数(除輸出機械) 法人税収入
6 消費者態度指数 商業販売額(小売業) 完全失業率(逆サイクル)
7 日経商品指数(42種総合) 商業販売額(卸売業) きまって支給する給与(製造業、名目)
8 マネーストック 営業利益(全産業) 消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)
9 東証株価指数 有効求人倍率(除学卒) 最終需要財在庫指数
10 投資環境指数(製造業)    
11 中小企業売上見直しDI    

景気動向指数には2種類ある

さて、ここまで説明してきた景気指数を活用して「景気動向指数」が求められます。景気動向指数には2つの種類があり、変動の把握のために活用される「CI」と景気の局面が上向きなのか下向きなのか、傾向の判断に用いられる「DI」の2つの計算方法があります。

この2つの計算方法に対しそれぞれ、上記の景気指数が当てはまるため、景気動向指数と一口に言っても全部で6つの指数があります。活用場面がそれぞれ異なるため、数値の見方はとても重要です。

①CIとは

景気の変化の大きさを見る指標であり「Composite Index」の頭文字をとったものです。国際的にはこちらが良く用いられており、景気変動の大きさや変化について測定する目的があります。つまり「変化の大きさをとらえやすい」という特徴がある視数です。

基準とする年を100とし、指数が100を超えた場合は景気が拡大している、CIの数値が以前より大きくなればなるほど、景気が急激に良くなっていると分かります。反対に100を下回り急激に下がるほど、悪化しているとみることができます。

景気に対して敏感だとされ、日本でも平成20年よりこちらを中心に発表するようになりました。しかし指標の変化率が反映されるため、年度ごとの違いの把握が簡単である一方、外れ値の影響を受けて本来の値からずれてしまうことがあります。

量的にどのくらい良いか悪いかの判断はつきますが、必ずしもその時の景気が良い状況かどうかを裏付ける数値にはならないということです。

②DIとは

変化の方向性を見る指標であり、日本ではこちらがメインで使われてきましたが、近年はCIを中心とした発表に移りつつあります。「Diffeusion Index」の頭文字をとったもので、各指標を前年度を比較した際の改善(プラス)や横ばい(変化なし)、減少(マイナス)に分類し、その割合を持って表されます。

特徴として景気拡張の動きが、どのくらいの範囲まで広がっているのかを見るときに欠かせません。たとえば上昇を示す指標の割合が数か月続けて50%以上を維持している場合は、景気が拡大していると読むことができます。

しかし他の年度との比較や景気の変化の方向性について把握しやすくとも、直接的な景気変動が把握しにくく、非常に悪い景気や、その月よりは良いが総合的に悪かった月など、すべて含めて「悪い」と表現されてしまいます。つまりDIだけでは、景気が良いことは分かるけどどのくらい良いのか判断することが難しい、となります。

景気動向指数が上がると為替はどうなる

景気動向指数が上がると「日本経済全体が景気向上している」とみなされ、金利を引き上げる可能性が高くなることから円買いの動きが起きやすくなります。円買いが進むと円高となり、特に先行指数は経済動向より数か月は先行しているとみなされるため、速報性があり短期的ですが市場へ影響を与えやすいとされます。

 

なお反対に「日本経済全体が景気低迷している」とみなされた場合は、円を手放す人も増え、円安になりやすいとされます。景気動向指数は、日本だけでなく他の国の経済状況を見る場合も欠かせません。

為替の動きを見る場合、市場予想と比べてどうなるのか、という点も忘れてはなりません。

 

もし予想と結果が同じなら、市場に動きが出ないためです。市場の予想に比べて景気動向指数が変わる様なら、市場へのインパクトは大きくなります。すると為替の変動も大きくなるでしょう。

景気動向指数は景気の良い悪いをある程度数値として判断することができるものの、判断材料の1つにすぎないことは覚えておきましょう。

 

景気動向指数以外の景気をはかる指標

株式相場の動きは景気動向指数だけで把握できるものではありません。様々な要因を検討比較し、予想を立てていくことが必要になります。

景気ウォッチャー調査

先行きが不安になると貯金を増やそうとする人が増えるように、景気の変動には心理的な要因も絡みます。その心理的な要因を見極めるために活用できるのが、景気ウォッチャー調査です。

景気ウォッチャー調査とは

毎月発表される指標の1つであり、景気に敏感な小売店やタクシー運転手、自動車のディーラーなどにインタビューし、景気観を調査した街頭景気調査のことです。2000年から行われている調査で、その内容は「3か月前と比較して景気はどうか」や「これから2~3か月後はどうなるか」といった質問に5段階評価で答えてもらう、という方法で算出されます。

特徴はそのスピード感で、月末に回収した後、翌月の第6営業日には公表するため、現在の状況をリアルタイムに反映しているとされます。数値が50を超えれば景気が良い、下回れば景気が悪いということになるとされます。今の状況に対する指数と、先行きの数値双方が発表されますが、特に注目度が高いのは先行きと言われます。

景気動向指数との違い

景気動向指数が様々な指標を総合し、数値化したものに対して、景気ウォッチャー調査は景気に敏感な職種を対象とした調査をもとに発表されるものであり、個別の判断理由が掲載されている点が特徴です。たとえば「立ち止まって商品を見る人が増えた」など、買い物時の消費者の様子が分かります。業績に対して売り上げが反映され、指標化されるまでのタイムラグが少なくなります。

また株価との連動傾向も強いとされ、先行することも多いと言われます。そのため景気ウォッチャー調査を元に取引を検討する手法をとる人もいます。

消費者物価指数

消費者物価指数(CPI:Consumers Price Index)は、物価の変動を見るのに欠かせない指標です。総務省が毎月公表し、消費者の実際の商品やサービスなどの購入動向により変動します。特に消費者の家計支出の中でも重要度が高いものに限って調査され、経済における金融政策や年金の改定など、私たちの生活にも直接的に関係します。

消費者物価指数とは

商品やサービスの小売価格の動向を示す指標であり、同時に物価の動向が反映されるためインフレやデフレの度合いを知るためにも活用されます。消費者物価指数は「総合指数」のほか生鮮食品抜いた「コアCPI」と食料品(酒類を除く)およびエネルギーを除いた「コアコアCPI」の3つが公表されます。

特に注目されるのが「コアコアCPI」です。天候や天災で値段の変動が起きやすい食料品や、原油価格の変動を受けるエネルギーに関する指標を除いてあるため、よりインフレやデフレの度合い、物価の動向の基調を正確に把握することができます。

消費者物価指数の見方 

公表される指数は、基準となる年に比べて何%高くなったか、反対に低くなったのかという点からチェックします。たとえば総合的な指数が基準年を100とすると、その月は105になっていれば、基準年に比べて物価が5%近く高くなったと分かります。

消費者物価指数が上昇している場合は、物価が高くなると同時に、インフレ率が高くなっていることを示します。景気が上向いており、経済の良い循環が機能していることを示しており、特に賃金上昇に伴って上がりやすくなります。

反対に低下した場合は、物価の下落を示します。デフレ傾向にあり、円高や原油価格が安くなった際に低下します。

国内総生産

合わせてチェックしておきたいのが「国内総生産(GDP)」です。国内の経済活動によって新たに生み出された付加価値(利益)の合計のことで、内閣府から年4回公表されます。

たとえば農家が原価100円の農作物を150円で企業に売り、企業がそれを加工して消費者に200円で販売したとします。この時の各々の利益を見ると、農家の場合は「150-100=50円」であり企業は「200-150=50円」の利益が出たことが分かります。

GDPは利益の合計ですから、この一連の流れで生まれたGDPは100円です。GDPが上昇するほど、経済活動が多く行われ、利益がたくさん生まれたことを示します。GDPの上昇や下降を前年度やその年の前のGDPと比較することで、過去より景気が良くなったのか、あるいは悪くなったのか判断することができます。

経済成長率

1つの国の経済規模が1年でどのくらい成長したのかを%で示すもので、GDPまたは国民所得の年間の増加率で表します。例として昨年度のGDPが200億円あり、今年が210億円になれば、5%の経済成長があったと言えます。

しかし株式市場などにおいては、経済成長率から物価上昇率を差し引いた「実質経済成長率」の方が注目されます。もしGDPが5%成長していても、物価が同じように5%高くなったとしたら、景気は良くなったとは言えません。賃金が1万円増えても、物価が高くなっているため国民経済に変化がないというわけです。

つまり経済成長率がいくら高かったとしても、実際の生活の状況や物価の変動は見えてきません。国全体の好景気と、自分がみたい経済状況が必ずしも一致するとは限らないのです。

景気動向指数で今の景気を知る

景気動向指数や消費物価指数、景気ウォッチャー調査など様々な数値化された指標は、今の景気を大まかに把握する際に、とても活用しやすいといえます。一度覚えてしまえば、他の国の景気動向を把握することも可能です。

たとえばリーマンショックのように、アメリカ合衆国の住宅バブル崩壊であっても、日経平均株価が大暴落を起こすようなケースもあります。景気は日本国内の消費活動以外にも、海外の景気動向によって影響を受けることが多々あるのです。国内の景気だけでなく、海外の景気も視野に入れて対応することが必要です。

景気動向指数の把握を足掛かりに、世界的な景気動向や日本国内の景気の先行きなどをチェックして、今の景気を知っていきましょう。

 

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