有価証券とは何か|有価証券報告書とはどのようなものなのか

有価証券とは何か|有価証券報告書とはどのようなものなのか

LIFE STYLE 2019.03.16

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有価証券について詳しく知りたい

日産自動車の金融商品取引法違反、有価証券虚偽記載の話題が連日テレビをにぎわせています。カルロス・ゴーン氏は50億にも及ぶ巨額の申告もれを指摘されています。この想像すらできないような巨額の申告漏れには、いったいどれだけの追徴課税が課せられるのでしょうか。

有価証券虚偽記載では、悪意があるとみなされると追加で支払う税金の35%が重加算税として追加で徴収されます。この有価証券虚偽記載とはどのようなことなのでしょうか。また、有価証券とはどんな役割をしているのでしょうか。ここでは、有価証券にはどのような種類があって、どんな役割があるのかを調べてみました。

また、有価証券に関わる有価証券報告書とは何かということも調べました。これらのことを知ることによって、安全・円滑に投資を行えるように参考にして下さい。

有価証券とは

有価証券とはその証券自体に財産的価値や権利を有するものです。有価証券は、資本証券、貨幣証券、物財証券に分類することができます。

有価証券の定義

証券自体が財産的価値を有している証券のことを有価証券といいます。例えば、商品を受け取る権利であったり、金銭を請求する権利であったりします。そして、その財産的価値を持つ有価証券は、その有価証券を持っている人が、譲渡したりその権利を行使したりすることができます。なお、有価証券の権利の行使や財産や権利の移転には、証券をもって行う必要があります。

有価証券の分類の仕方にはいろいろあります。まず、1つ目は表す権利によって分類することができます。債権のみを表す債権証券や、債券とその債権を担保とする物権を表す物権証券であったり、社員権を表す社員証券などに分類することができます。そのほかにも受益証券などがあります。

また、表す権利の内容によっても分類することができます。株券や債券など、企業が資金調達の際に発行する資本証券がその1つです。ほかに、ビジネスなどでよく使われる、手形や小切手などのように金銭の決済や送金手段として使われる貨幣証券があります。また、貨物の引換証や倉庫証券、デパートなどの商品券、船荷証券など、その証券に記載されている物品に対する権利がある物財証券に別れています。

また、有価証券の受取書は課税文書として扱われます。そのため、印紙税の納付義務があります。

有価証券の目的

有価証券はその証券自体に財産的価値や権利を持たせることで、流通市場の安全で円滑な取引をするために役立っています。また、権利の流通性を高めることもできます。有価証券は記載されている権利者の記載方法で、記名証券や指図証券、無記名証券、選択無記名証券に分けることができます。

指図証券であれば、特定の人や指図された人にその価値や権利を譲渡することができます。また、記名証券でも文言を入れ、署名することで指図証券のように扱うことができます。このように、商品やサービスの取引に有価証券を使うことで安全な取引を円滑に進めることができます。

有価証券は3つに分類される

有価証券は、その権利の表す内容によって、資本証券、貨幣証券、物財証券の3つに分類することができます。

資本証券

一般的によく耳にする有価証券はこの資本証券を意味する場合が多いです。資本証券とは、株式や債券のことをいいます。資本証券は、企業などが創業するときや、設備の増設、財務基盤の拡充など多額の費用が必要になったときに発行される有価証券のことです。

国が財政上資金が必要なときに発行している有価証券を国債といいます。また、地方債は、地方公共団体が、財政上に必要な資金を調達するときに発行される有価証券です。そして、社債は企業が資金調達のために発行する有価証券です。なお、株式は出資証券になります。そのため、株主に対する返済義務はありません。しかし、ほかの国債、地方債、社債は借用証券となり、所有者に対しての返済義務があります。

なお、資本証券は、その所有者の配当や利子などを請求する権利を保証する証券です。

貨幣証券

貨幣証券とは、その証券に記載された金額の支払いを請求できる権利を有する証券のことです。為替手形や約束手形、小切手などが貨幣証券に該当します。これらの貨幣証券は企業間での高額の支払いをするときに用いられています。

小切手は指定する金額を振出人が指定した人に指定した金額を支払うことができるものです。小切手の所有者は金融機関にその小切手を持ち込むことで、代わりに指定された金額を金融機関から受け取ることができることを約束した証券です。この金額は、小切手の振出人の当座預金から引き落とされることになります。約束手形は、未来に支払うことを約束したことを証明する有価証券です。

また、為替手形は3者間取引で用いられることが多い有価証券です。貨幣証券の特徴は、その支払いの期日を指定できることにあります。貨幣証券を使用すれば、多額の現金を持ち歩くことなく安全に取引を行うことができます。

物財証券

物財証券は物品証券とも呼ばれます。これらの証券は、物品の引き渡しの請求権を表しているものです。貨物引換証や倉庫証券、船荷証券、商品券などが該当します。その証券を所持する人にその物品を所持する権利を有しており、その権利は裏書き、署名することでその物品の権利を移転することができます。

倉庫に行って、裏書き、署名された有価証券と引き換えに、その有価証券に記載された物品を受け取ることができるということです。例えば、海外に商品を輸出するとき、コンテナ船を利用すると船会社から船荷証券を受け取ります。その船荷証券にはその商品の所有者や誰宛に送るのかや商品の詳細が記されています。そして、購入者が商品代金を支払った時点でその船荷証券に裏書して購入者に送付することで、現地で購入者はその船荷証券と引き換えに商品を受け取ることができます。

このように、商品代金を確実に回収するためにも有価証券は役立っています。

資本証券 株式や債券など
貨幣証券 為替手形や約束手形、小切手など
物財証券 貨物引換証や倉庫証券、船荷証券、商品券など

有価証券に定義される範囲

有価証券とはその証券自体に財産的価値を有する証券のことをいいます。そして、その権利の行使は、有価証券をもって行います。また、証拠証券や免責証券、それ自体が特定の金銭価値を有する金券は有価証券には該当しません。

有価証券に該当するもの

国税庁で定められている印紙税法上の有価証券には、たくさんの種類があります。株券、国債、地方債、社債券、出資証券、投資信託の受益証券、貸し付け信託や特定目的信託、受益証券発行信託等の受益証券があります。また、約束手形、為替手形、小切手、貨物引換証、倉庫証券、船荷証券、車載利札、郵便為替、商品券、各種プリペイドカードなども有価証券にあたります。

有価証券は、その権利を移転するときや行使するときに、証券をもって行われるものです。そのため、記載内容を証明する証拠証書は有価証券に該当しません。

有価証券に該当しないもの

有価証券に該当しないものには、証拠証書や免責証券、また、郵便切手や収入印紙があります。

単なる証拠証書

証拠証書または証拠証券といいます。預金通帳や領収書、保険証券、借用証書、運送状などがこれにあたります。証拠証書は法律関係の証明を容易にする証券です。証拠証書は、権利の行使をするときに、必ずしも証券を持っている必要がありません。そのため、有価証券にはあてはまりません。単純に記載された内容を証明する証券となります。

単なる免責証券

免責証券には、鉄道手荷物引換券やホテルのクロークの番号札、銀行の預金証書、下足札などがあてはまります。これらは債務者が証券の所持人に弁済することで、所持人が正当な権利者でなくても、債務者は重大な過失がない限り債務をのがれる効力がある証券のことをいいます。免責証券も有価証券には該当しません。

要するに、ホテルのクロークなどで、番号札を手渡せば、そのクローク係り(債務者)は、その番号札を持っている人にその番号札の該当の物品を渡します。しかし、そのクローク係りには、その番号札の所持者がその物品の正当な所持者であるかどうかはわからないため、免責されるということです。

特定の金銭的価値を有する金券

郵便切手や収入印紙、紙幣などは法律上、そのもの自体が特定の金銭的価値をもつ金券として扱われます。そのため、有価証券にはなりません。

有価証券報告書とは

有価証券報告書とは、提出義務があると定められた有価証券を発行している上場企業が、毎事業年度ごとに内閣総理大臣に提出している書類です。

有価証券報告書の定義

有価証券を発行する上場企業が、金融商品取引法に基づいて作成する書類のことを有価証券報告書といいます。有価証券報告書は一定の条件のもとに提出義務があります。有価証券報告書には、その企業の概況や事業内容、設備状況、営業状況、財務諸表などが記載されています。有価証券報告書を見ることで、その企業の経営状態などを知ることができます。

そのため、就職活動や転職活動の際に、企業の経営状況を調べるために利用する人も多くいます。また、有価証券の発行や流通市場において、情報を開示することで投資家の投資を支援し、保護をすることにつながっています。

また、従業員の状況も確認することができます。従業員の平均年齢や平均勤続年数、平均年間給与などが記載されているため、転職などの際の参考にすることもできます。投資家が投資をする際の、企業の経営状態を判断するときの材料としても用いられています。

有価証券報告書は、毎年、その事業年度が終わって、3カ月以内に上場証券取引所、及び、財務局長・金融庁を通じて内閣総理大臣に提出することが義務付けられています。なお、2004年6月から紙での提出ができなくなり、電子提出のみとなっております。なお、有価証券報告書の記載内容は、毎年変更されます。

金融商品取引法における企業内容等開示制度

ディスクロージャー制度(企業内容等開示制度)とは、有価証券の発行者である企業が一般の投資家や債権者、株主などに対して、企業の概況や事業内容、財務内容等を適切な時期に公平に、正確に開示することを強制した制度です。

ディスクロージャー制度には、継続開示制度があって、企業の概況や事業内容、設備状況、経理の状況などを有価証券報告書としてまとめ、EDINETを通して、内閣総理大臣に提出しEDINET上で情報が開示されます。開示された情報は誰でも閲覧することができます。

有価証券報告書の財務関連の書類である、財務諸表や連結財務諸表は、公認会計士や監査法人による監査を受けなければなりません。これらの開示された情報は、流通市場での投資家の投資判断の際の材料となり、投資家の保護に役立っています。

有価証券報告書の提出が必要とされる企業

有価証券報告書の提出が義務付けられているのは、以下のような企業になります。

証券取引所に上場されている有価証券

金融商品取引所に上場されている有価証券を発行している企業や、金融市場に商品登録されている有価証券を発行している上場企業は、有価証券報告書を提出しなければなりません。また、有価証券の募集、売り出しの際に有価証券届出書を提出した有価証券の発行者や、発行登録追補書類を提出している有価証券の発行者も有価証券報告書の提出が必要です。

また、所有者が1,000人以上の株券(株券を受託有価証券としている有価証券信託受益証券及び株券にかかる権利を有する預託証券を含む)を発行している企業、または、資本金500万円以上の企業が発行する優先出資証券、および所有者数が500人以上のみなし有価証券(総出資金額が1億円未満のものを除く)を発行している企業は有価証券報告書の提出が必要になります。

有価証券の総額が1億円以上であること

有価証券の募集や売り出しの際に、有価証券の総額が1億円を超える場合には、その有価証券を発行している会社は、有価証券報告書の提出しなければなりません。また、そのときの、有価証券の募集や売り出しが1億円未満であっても、1年間の通算をして、1億円を超える場合には、有価証券報告書の提出しなければなりません。

そして、有価証券の発行者が募集、売り出しを行うときに、勧誘人数が50名以上の場合には有価証券報告書の提出義務があります。また、そのときの募集、売り出しの際には50名に満たなくても、1年の通算で50名を超える場合には、有価証券報告書の提出が必要となります。

有価証券所有者が500人以上

過去5年間の事業年度末の時点で、株式や優先出資証券の保有者が1,000人を超えたことのある会社は、有価証券報告書の提出をしなければなりません。ただし、資本金が5億円未満の会社には提出義務はありません。

また、過去5年間の間の事業年度末の時点で、500名以上が保有する有価証券を発行している企業も、有価証券報告書の提出の必要があります。

有価証言報告書の提出期限

有価証券報告書の提出義務は基本的には、事業年度末後、3カ月以内に提出しなければなりません。しかし、外国企業などは言語や会計の方法が違うために、期日内での提出が難しい場合には延長が認められています。また、粉飾決算をした企業なども監査に時間がかかるため、延長されています。

延長には申請が必要で、内閣総理大臣に認められた日数だけ延長することができます。延長するときには、やむを得ない理由がある場合にのみ認められます。やむを得ない理由とは、停電などのシステムのトラブルで債権債務が確定できない場合や、民事再生法の手続きで債権債務が確定できない場合などが該当します。

また、外国企業で本国の法令上、手続きが間に合わない場合なども該当します。そして、過年度の有価証券報告書に重大な虚偽の記載がある場合に、過年度の連結財務諸表等の訂正が必要な場合にも申請により延長がみとめられます。また、監査で連結財務諸表等に重篤な虚偽の記載が発見された場合に、監査報告書を期限内に受け取ることができない場合にも延長が認められます。

有価証券報告書を虚偽記載した場合は処罰される

有価証券報告書の提出をしなかったり、虚偽の記載をすると重い罰則があります。それが、悪質だと認められると重加算税が課せられます。

金融商品取引法違反となる

有価証券報告書を提出しなかったり、虚偽の記載をした場合には金融商品取引法違反となり、刑事罰、行政罰、民事責任、上場廃止などの罰則があります。有価証券報告書を提出しなかった場合には、5年以下の懲役、または、500万円以下の罰金、または併科となる場合があります。なお、法人の場合は5億円以下の罰金になります。

また、有価証券報告書に虚偽の記載をしたときには、10年以下の懲役、または、1,000万円以下の罰金、または、併科となる場合があります。なお、法人は7億円以下の罰金になります。

追加徴税が課される

有価証券報告書に虚偽の記載をするなどの、悪質な隠ぺいや仮装が行われたときには重加算税が課税されます。過少申告加算税の上限15%や無申告加算税の上限20%に代わり、追加納付額の35%の重加算税が課税されることになります。

有価証券報告書の虚偽の記載の主なものが、架空の経費の計上や売り上げを少なく記載すること、領収書を偽装することなどがあります。また、架空の社員への給与の支払い、存在しない取引先名を使うことがあげられます。そして、これらは悪質な虚偽の記載としてとらえられます。

なお、売上を計上する年を間違えてしまい、去年計上すべきものを今年に計上してしまった場合には、重加算税の対象とはなりません。修正申告の必要はありますが、悪質ではないと判断されます。

有価証券やその報告書は投資家にとって有益で信頼できる情報である

有価証券報告書は、投資家が投資を行う際には、必ずチェックするべき書類です。投資目的で国債や地方債、社債などを購入する前には、その企業の概況や事業内容、設備がどうなっているのか、経理の状態や従業員の状態を確認することで、今後、その企業に投資して儲けることができるかを予測することができます。

このように、有価証券報告書は投資家が投資を行う際に、適時に安全に公平に企業情報を手に入れることができるように公開されている情報です。この情報を開示することにより、投資家を保護することにつながっています。また、企業の経営状態がわかることから、就職の際や転職の際の企業情報の確認にも役立てることができます。

そして、有価証券はその証券自体に価値や権利を有することができるので、その証券をもって取引を行うことができます。取引を安全に円滑に進めるためには、有価証券は欠かせないものです。有価証券や有価証券報告書の役割を理解して、今後のビジネスに活かせるようになりましょう。

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