キューベルワーゲンについて考える・深い歴史とデザイン性が魅力

キューベルワーゲンについて考える・深い歴史とデザイン性が魅力

CAR / MOTORCYCLE 2018.03.10

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キューベルワーゲンとは


[ 画像引用元 Wikioedia ]
キューベルワーゲンは、かつて、ドイツで生産された車で、現在もミリタリー好きな方や、旧車・アンティーク車ファンに、愛され続けている車のひとつです。デザインは、フォルクスワーゲン・TYPE1の軍用車バージョン。キューベルワーゲンは、第二次世界大戦のさなか、軍用に使用できるよう開発されました。不整地での走破性を高めるため、軽量で低重心の設計がなされています。また、地上高を高めた設計にもなっています。キューベルワーゲンは、オープントップ(オープンカー)仕様となっていて、屋根は耐水性のキャンバス地で出来た折りたたみ式の幌で出来ています。座席はパケットシートと呼ばれる簡易的なものです。キューベルワーゲンは、軍用車でありながら、高いデザイン性も備えた魅力的な車です。

時代背景と特長

軍用車として開発されたキューベルワーゲンですが、もともとの素案は、第二次世界大戦に突入する前に、なされていました。当時のドイツ政府は、「国家を真に支えているのは国民大衆である。その国民大衆のための自動車であってこそ、文明の利器である。素晴らしい生活を約束してくれるであろう、国民のための車を製造すべきである」というスローガンを掲げます。そして、フェルディナント・ポルシェ氏に「国民車」のデザイン設計を依頼しました。

時代がすすみ、第二次世界大戦の戦況が、いよいよ活発となり、世界各国は、こぞって軍用車両の開発をすすめました。とにもかくにも、通常車両より軍用車両が優先される時代。フォルクスワーゲンも、しかり。そうした時代背景から生まれたのです。国民車としてデザインされた、フォルクスワーゲンは、軍用車として、その形を変えることとなりました。国民車・フォルクスワーゲン工場からは、軍用車キューベルワーゲンが、次々と製造され、戦地へ送られていくこととなります。素晴らしい性能とデザインのキューベルワーゲンですが、のちに、キューベルワーゲン開発兼設計者のフェルデナント・ポルシェ氏は、戦犯として追放されています。

ドイツで生産された小型軍用車両

1938年、当時のドイツ陸軍兵器局は、ポルシェ設計事務所に、軍用車両の開発を命じました。陸軍兵器局は、軍用車両として、兵士が快適に使用できるよう、いくつかの条件を提示しました。大量生産可能にすること、オープントップのデザイン、総重量950kg(車両550kgと積載量400kg)と軽量であること、の3点です。この条件を満たすべく、フェルディナント・ポルシェらにより設計され、フォルクスワーゲンは、キューベルワーゲンに生まれ変わります。

フォルクスワーゲン・タイプ1の軍用車版

ポルシェ設計事務所は、当時開発途中であった、フォルクスワーゲンTYPE1を、軍用に設計し直して、本格的な開発をはじめました。現在も車ファンから大変人気のあるフォルクスワーゲンですが、キューベルワーゲンは、初のフォルクスワーゲンともいうわけです。そして、1939年、陸軍の出した要件に合うよう開発された、キューベルワーゲンはじめの試作品が、完成。

その後、キューベルワーゲンは、数々の改良を重ねられ、完成を迎えます。そして戦地の兵士たちに、大変歓迎される運びとなりました。キューベルワーゲンは、軍馬にとってかわり、戦地を走り回ります。軽量で低重心、徹底的に戦地での使用に重点を置き、開発された車両は、大変機能的なものでした。軽量なため、小さなエンジンでも軽く速度が出て、その稼働力たるや、非常に素晴らしいもの。また、低重心なのも、キューベルワーゲンの魅力のひとつで、どんな場所でも走破できるように設計されたものでした。

さらには、シンプルな駆動系により、過酷な戦場でもメンテナンスがしやすいように工夫がなされていました。キューベルワーゲンは、派生型も合わせると、終戦までに50000台製造されたそうです。

人員輸送がメイン

キューベルワーゲンは、フル4座のシートを備えた車です。また、どんな厳しい場所でも耐え抜く、どっしりとしたボディには、しっかりとしたドアが装備されました。車両の位置が高く、床下が高いのも特徴のひとつです。すべての仕様は、戦地において、安全かつ迅速な人員輸送をメインにするために考えられたもの。

当時、ドイツの敵国のひとつであったアメリカ司令部が、キューベルワーゲンを見るやいなや、ただちに、キューベルワーゲンを上回るジープの開発を、自国の自動車メーカーに命じたというエピソードが残っています。キューベルワーゲンは、小型軍用車の元祖とも呼べる車であり、実用性とデザイン性を兼ね備えていました。

寒冷地においても酷暑においても、高い耐久性とパワーを発揮しました。ロシア戦線、アフリカ戦線など、地理条件や気候条件などが違う場所でも、同じように扱うことができたので、兵士たちにとって、とても使い勝手がよかったようです。1942年には、砂地でもグイグイ走れるよう、幅の広いバルーンタイヤが開発、装備されるようになりました。

現在の入手方法

中古車を購入する

キューベルワーゲンは、世界中の愛好家に人気の車です。現在生産されている車ではないので、欲しい時にいつでも買うことのできる車ではありません。旧車専門の中古車販売店などで、時々目にすることができます。

幸運にも、こうした中古車を手にいれることができた場合、レストアすることが必要となるでしょう。レストアとは、車としての本来の機能を取り戻すことです。キューベルワーゲンを走行可能な状態までレストアするのか、外見を美しくして鑑賞目的とするのかで、その手間や費用が変わってきます。キューベルワーゲンは、戦時中の車ですから、走行できるまでにレストアするには、かなりの労力が必要かも知れません。

パーツを探し出したり、エンジンを乗せ換えたり。レストアは、車の趣味のなかでも、究極と呼ばれるものなのだとか。コツコツとレストアの道のり自体を愉しむことは、大変贅沢な時間でしょう。

レプリカを購入する

キューベルワーゲンは、インターメカニカ社により、そのレプリカが製造されています。インターメカニカ社は、1959年創業の車両メーカー。現在、カナダのバンクーバーにある会社で、車のレプリカモデル製作を専門にしています。完全オーダーメイド制で、レプリカ車の生産をしていて、キューベルワーゲンのレプリカ車制作を得意としています。まさに、自分だけのキューベルワーゲン・レプリカ車を作れる魅力。

インターメカニカ社のレプリカ車は、オリジナルデザインを大切にしながら、現在の技術から生み出される性能の高さで、大変人気があります。ファンの間では、「インターメカニカ社のレプリカ車は、オリジナルを超える」とも言われているほどです。

電気自動車として復活を待つ

キューベルワーゲンファンにとって、嬉しいニュースがあります。キューベルワーゲンの電気自動車化を、フォルクスワーゲンのディエスCEOが、示唆したというものです。フォルクスワーゲンCEOである、ハーバード・ディエス氏は、アメリカの自動車メディアの、あるインタビュー記事の中で、「キューベルワーゲンは、弊社のモジュラー・エレクトリック・ドライブ(MEB)と相性が良い」と述べています。

モジュラー・エレクトリック・ドライブ(MEB)とは、フォルクスワーゲン社の電気自動車専用プラットフォームのことです。フォルクスワーゲンCEOの、この発言から、近い将来、キューベルワーゲンが電気自動車として復活するのではないか、とファンは色めき立ちました。キューベルワーゲン復活のそのときを、ファンならずとも、期待して待ちたいものです。

気分だけでも味わうプラモデル5選

キューベルワーゲン車の実物を購入するというのは、なにかとハードルが高いもの。購入費用のこと、レストア費用のこと。また、保管場所なども必要となってきます。キューベルワーゲンに魅力を感じるものの、現実的に手にするのは難しいと考える方も多いようです。

そんなキューベルワーゲン好きの方に、おすすめなのが、キューベルワーゲンのプラモデル。本物そっくりに忠実に設計されたプラモデルの完成度は、大変に素晴らしいものです。数あるキューベルワーゲンのプラモデルのなかでも、キューベルワーゲン82型タイプのプラモデルを厳選してご紹介いたします。また、プラスチックモデルで、プラモデル初心者の方にも、比較的組み立てやすいタイプをピックアップしました。

タミヤ 1/35 82型 ラムケ降下旅団

キューベルワーゲンのアフリカ仕様モデルと、ラムケ降下旅団の兵士達がセットされています。 1/35スケール。プラモデル組み立て後の全長は、約109ミリです。車体には、バルーンタイヤが装着されています。人形は全部で5体。車外には進路を示している下士官、小銃手の2体、車内には、運転手、助手席に座る士官、後部席の機銃手です。人形の服装も細部にわたり忠実に再現されています。ベージュの戦闘服の上にはジャンプスーツ 。頭には、熱帯帽や空挺ヘルメットなど、それぞれの職種に適した服装になっており、パラシュート部隊の臨場感が演出されています。

ラムケ降下旅団というのは、ドイツ空軍の精鋭部隊の名称で、マルタ島の攻略作戦に向けて編成されました。この作戦は中止され、彼らはのちのドイツ・アフリカ軍団への増援を命じられます。そして、北アフリカにて、エルアラメインの激戦に加わり奮闘します。結果的に、主力部隊が壊滅状態で撤退を余儀なくされるのですが、その際、ラムケ降下旅団は、敵戦線の後方に取り残されてしまいます。車輌が不足していて、徒歩で撤退しなければならず、祖国への旅路は厳しいものでした。途中、敵国イギリス軍部隊から、必要な物資や車輌を奪い逃げとおし、友軍に合流しました。プラモデルは、このエピソードを模したものです。

ドラゴン 1/35 ワークショップ with DAK

キューベルワーゲン車と、DAK(ドイツアフリカ軍団)所属の歩兵5体がセットされ、さらに、エッチング製の収納箱を備え付けた贅沢な仕様です。小物はほかにも、携帯コンロ、缶詰、犬などが付属しています。1/35スケール。キューベルワーゲンのワイパーやドアノブは、エッチングにより金具の雰囲気が、精巧に映し出されています。フィギア5体は、休憩中の様子なのか、みなリラックスした模様。半ズボン着用で、座って水を飲みながら談笑しているようです。

イタリアのカルトグラフ社制作のデカールが付属でついています。DAK(ドイツアフリカ軍団)のシンボルマークや、車体番号表示版、車のナンバープレート用の数字などがプリントされています。

ドイツレベル 1/35 スタッフカー

ドイツレベル社は、ハセガワが輸入代理店を務めるドイツのプラモデルメーカーです。プラモデル以外にも、ダイキャスト製のミニカーの制作もしていて、品質が良いと好評です。

キューベルワーゲンとフィギアが2体、キャンプがセットされています。また、小物として机と椅子、大きめの無線がついています。キューベルワーゲンは、茶色地に黒い斑点のミリタリー仕様です。フィギアの1つは、軍服を着た立ち姿で、もう1つは、上半身裸に半ズボンをはき帽子をかぶっていて、座った姿勢です。

ドラゴン 1/35 無線車

ラジオカータイプのキューベルワゴンを1/35スケールで再現したプラモデルです。キューベルワゴンとともに、後部座席にセットされるラックと通信機器をモデル化したものがセットされています。キューベルワゴン本体のパーツは、前後のサスペンションやシート、ダッシュボードに至るまで繊細に再現されていて、臨場感あふれる仕上がりになっています。

さらに、ラックは、エッチングによりシャープな印象。ラックの中に収められている通信機器は、まるで本物のようなリアルなタッチで、スイッチやメーターなどがメタにカルに再現されています。運転席には、ドライバーフィギアが座っています。

タミヤ 1/35 アフリカ仕様

タミヤは日本のホビーメーカーで、プラモデルや模型を中心に製造しています。心の豊かさが大切になる時代、作る楽しさを問い続けたい、というのがタミヤのポリシー。その優れた技術と高い品質の製品は、世界中の模型ファンから愛されています。

キューベルワーゲン82型アフリカ仕様のプラモデルに、兵士のフィギア1体がセットされています。キューベルワーゲンは、北アフリカ戦線においても活躍しました。戦地の状況に合わせて、さまざまなタイプのキューベルワーゲンが開発されましたが、なかでも、キューベルワーゲン82型アフリカ仕様は、砂漠仕様のバルーンタイヤ装備を特徴としています。砂地での走破性を高め、兵士たちの心強い味方となりました。まるで本物のようなリアリティのあるキューベルワーゲン。その車内も繊細な作りです。サスペンションアーム、エンジンのアンダーガードなどもリアルに再現され、今にも動き出しそうな雰囲気です。立ち姿のフィギアは、半袖のシャツに半ズボンを着用しています。

キューベルワーゲンの魅力を再認識しよう

キューベルワーゲンの魅力は、高い性能とともに、なんといってもセンスの良い外観です。当時レーシングカーデザイナーとして有名であった、フェルディナント・ポルシェ博士によるデザインで、軍用車とは思えない魅力的なボディを持っています。その人気から、レプリカ車の販売もされていて、売れ行きは好調です。最近では、キューベルワーゲンが電気自動車として復活するのではないか、というニュースも流れました。戦争という悲しい歴史のなかで誕生したキューベルワーゲン。自国に勝利をもたらそうと、懸命に生きた、キューベルワーゲン製造者たちや兵士たち。彼らに思いをはせながら、いまいちどキューベルワーゲンの魅力を再認識しませんか。

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