300SLの歴史と逸話から色あせない魅力を追求しよう

300SLの歴史と逸話から色あせない魅力を追求しよう

CAR / MOTORCYCLE 2018.04.15

300SLは、メルセデスベンツの中で「最も収集する価値がある車」の1つ。ガルウィングドアやガソリン直噴エンジンなど、世界初の試みが施されたスーパーカーは、今後も世代を超えて語り継がれていくことでしょう。

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カーマニアの憧れの車300SLについて知ろう

300SLは、ベンツの愛称で親しまれるドイツの自動車メーカー「ダイムラー」を代表する高級車の1つ。ベンツというブランドは知っていても、300SLの種類や特徴を把握していないという方も多いのではないでしょうか。ブランドの誕生秘話や逸話、特徴をしっかりと理解してこそ、車の本当の魅力を知ることが可能に。スーパーカーの最高峰ともいわれた300SLについての知識を深めて、周りの人たちと差をつけましょう。

【画像URL引用:https://www.toyota.co.jp/Museum/collections/list/data/0059_Mercedes-Benz300SLCoupe.html】

300SLの由来

300SLという名称は、エンジン排気量が約3?で、軽量スポーツカーを意味するドイツ語「Sport Leicht」(シュポルト・ライヒト)の頭文字に由来。のちに、この「SL」の名称がつけられたシリーズは、ブランドの中でも特にSLクラスというグループに分けられ、高級スポーツカーとして揺るぎない地位を確立しました。

300SLの特徴

300SLがなぜ世代を超えて愛されるのか。その理由は、スタイリッシュなビジュアルで目を惹くガルウィングドアと、世界初のガソリン直噴エンジン。この大胆な試みは、スーパーカーの歴史を大きく塗りかえました。

メルセデスベンツ「SL」クラスの初代モデル

SLクラスは、メルセデスベンツの中でも、高級スポーツカーを中心に構成されるグループ。そのSLクラスの初代モデルとなったのが、300SLシリーズ。300SLにはいくつかのバリエーションがあり、試作品の「プロトタイプ」や2シーター箱型乗用車の「クーペ」、オープンカーの「ロードスター」などが名を連ねています。
300SLは、スポーツカーとしての用途からはじまり、その後はクーペやカブリオレなどの一般乗用車として発展していきました。そのため、車種によってスポーツ性や実用性、機能性などがはっきり分かれているのが特徴。
SLクラスは、メルセデスベンツにおいて最も長い歴史を誇るシリーズで、2人乗りオープンスポーツカーの最高峰とされ、ブランドの枠を超えた高い評価を受けています。

大きく上へ開くガルウィングドア

300SLの最大の特長といえば、上方へ大きく開くガルウィングドア。1950年代当時あまり主流ではなかったガルウィングドアを、市販の乗用車に初めて採用。ガルウィングドアとは、地面と垂直方向に動く上下開閉式ドアのこと。両側のドアが開けたときにビジュアルが「カモメの翼」のように見えることからこの呼び名がつけられました。
ガルウィングドアは、車の乗り降りを容易にするために取りつけられましたが、その機能性よりも優雅なデザイン性が高い評価を受けたことでも有名。それゆえ、ガルウィングドアは低車高のレーシングカーに多く採用されるようになり、今日ではガルウィングドアが高級スポーツカーの代名詞として、多くの人に親しまれるようになりました。

世界初のガソリン直噴エンジン

300SLは、世界で初めてガソリン直噴エンジンを搭載。ガソリン直噴エンジンとは、シリンダー内に高圧の燃料を直接噴射するエンジンのこと。300SLの場合、同じベンツが製造する高級車「リムジン」のエンジンをマネジメントして搭載。
それまでの車載エンジンは、シリンダーの外から空気と一緒に燃料を噴射するキャブレターが主流。しかし直噴エンジン搭載のパワーユニットでは、キャブレターの約2倍の出力を得ることに成功しました。これにより、300SLは最高時速260km/hを記録し、世間では当時最速のスーパーカーとして認知されました。

【画像URL引用:https://www.rkmotors.com/vehicles/1657/1954-mercedes-benz-300-sl-gullwing】

300SLの歴史

プロトタイプのスポーツカーからはじまり、クーペやロードスターの一般乗用車へと変貌を遂げた300SL。高級感を放ちながらも、それぞれの特性や個性があらわれています。

300SLプロトタイプ

プロトタイプは、レースに出場するレーシングカーとして制作されました。そのため、ボディは軽量なアルミ素材を使用していたり、空洞の多いスペースフレームを使用していたりするなど、軽量化をはかっているのが特長。
プロトタイプの段階では、スーパーチャージャー式エンジンや、エアブレーキの搭載テストがおこなわれていました。また、プロトタイプは、製造から宣伝などの運営にかかる費用を全て自己負担で賄う「ワークスマシン」としての役割も担っていました。
そんな300SLの名を世に知らしめる契機となったのが、フランスで開催された「ル・マン24時間耐久レース」。300SLはこの大会で2回勝利をおさめ、一躍人々の注目の的に。2代目以降は、一般乗用車の特性が色濃くなる300SLの中でも、唯一スポーツカーとしての特色が強く表れている貴重なシリーズです。

300SLクーペ

クーペは、プロトタイプの次に制作された2代目300SL。世界で初めてガソリン直噴エンジンを搭載した記念すべき300SL。クーペは、一列の座席と2枚のドアを有する箱型乗用車の形態をとっており、車体はプロトタイプよりも剛性が増し、耐久性が強化されました。
クーペは、プロトタイプのプロモーションに感銘を受けたニューヨークのディーラーのはからいにより、公道を走れるロードカーとして、およそ1400台が量産されました。製造するにあたり、ボディの素材がアルミからスチールに変更、車内は高級感のあるデザインを採用。スポーツカーの要素を残しつつも、一般乗用車向けに改良が施されているのが特長。世界初の直噴エンジンと「公道を走れるレーシングカー」という希少性により、現在でも高い人気を誇っています。

300SLのロードスター

ロードスターは、クーペよりもさらに大衆向けの特色を強めたシリーズ。ロードスターはオープンカーの形態をとっていますが、初期には着脱式のソフトトップループが用意されており、後期にはオプションのハードトップルーフをスタイリング。そのため、目的や状況に合わせてオープントップとルーフトップの両方を使い分けられるのが持ち味。
車体の構造は、ボディにスチール素材を使用して剛性が強化し、燃料タンクを小型化してトランクルームを拡大。ロードカーとして機能性に優れたつくりとなっています。
一時期は、通常の走行ラインよりも外側を走ってしまう「アンダーステア」が問題となりましたが、その後ピボット位置を変更し、滑らかな走行ができるように改良。総生産台数は1858台と、クーペよりも400台ほど多く製造されました。

【画像URL引用:http://jp.autoblog.com/2015/12/20/1954-mercedes-benz-300sl-sale/】

世界中のセレブが求めたステータスカー

世界的な人気を博した300SL。その魅力は、世界中のハリウッドセレブをも虜に。日本でも、限られた人しか所有できないほど入手困難な代物でした。

当時のアメリカのステータスシンボル

300SLは世界的に話題となりましたが、特に高い人気を誇ったのがアメリカ。そのきっかけとなったのが、世界一過酷なレースともいわれる「カレラ・パナメリカーナ・メヒコ」での優勝。この出来事はアメリカのカーマニアたちに大きな衝撃を与え、プロトタイプ特有の縦型グリルは「パナメリカーナ・グリル」という愛称で親しまれるようになりました。
その後、プロトタイプの系譜を継いでロード版として売り出されたクーペは、当時の相場で6,820ドル(約245万円)という高額だったにもかかわらず、注文が殺到したという逸話が。また、ヨルダンのフセイン国王やハリウッドセレブたちが300SLを買い占めたことで人気に拍車がかかり、アメリカでは、一種のステータスシンボルとして浸透していきました。

力道山や石原裕次郎も愛用していた

300SLを愛用したことで知られる代表的な日本人は2人。1人目は、一流プロレスラーの力道山。力道山はプライベートでは大の車好きとして知られており、ロールスロイスなどの高級車を多数所有していました。アメリカ巡業に行った際に300SLに一目惚れし、わざわざサンフランシスコから日本に取り寄せたほどの溺愛ぶりだったようです。
2人目は、歌手や俳優として知られる昭和の大スター石原裕次郎。力道山と同じくカーマニアだった石原裕次郎は、300SLの噂を聞きつけて力道山に車を譲るよう頼み込んだのだとか。これを受けた力道山は、もう1台300SLを手配し、石原裕次郎に譲ったといわれています。

【画像URL引用:https://response.jp/article/img/2009/04/28/123872/196168.fullscreen.html】

300SLを手に入れられる可能性

300SLの生産が終了している現在、入手ルートは競売やオークション、中古車販売店などが主流。高額で手に入らない場合は、レプリカなども参考に。

価格高騰により億越え

1954年当時は約245万円だった300SLは、2018年現在はどのくらいの価格になるのでしょうか。アメリカの中古車販売店「RKモーターズ」で扱っている中古の300SLの値段は、190万ドル(約2億3千万円)。この価格は、2012年のオークションで300SLが約2億7千万円で落札された事例から見ても、妥当な価格だといえるでしょう。
また、ボディが全てアルミ素材でつくられた車種は珍しいとされ、約5億6千万円の値がついた事例もあります。そのため、300SLの中古の相場はだいたい2~3億円ですが、車の状態や年式、素材や車種によって大きく変動するといえるでしょう。

稀に競売で出回るレプリカもある

本物の魅力を再現しようと、ガルウィングアメリカ社がレプリカモデルを発表。このレプリカはスポーツカーであったプロトタイプをベースにつくられています。ボディには、アルミ複合素材を使用して頑丈かつ軽い車体を再現。ブランドを象徴するガルウィングドアも健在しており、赤いレザーシートも忠実に再現されています。
また、アメリカのディーラーの手による、同じメルセデスベンツの車をベースにしたレプリカも存在。こちらは、高級車を多く取り扱っているオークションハウス「RMサザビーズ」に出品されており、値段は中古品の1/10が相場のようです。

【画像URL引用:http://mmj-car.com/distinations/】

300SLを見ることが出来る場所

購入には手が届かないという場合でも、以下の場所にいけば実物を目にすることができます。色褪せぬ300SLの世界観をぜひ博物館で。

トヨタ博物館

日本の大手自動車メーカー「トヨタ」が運営・管理する博物館。ここでは、歴史的価値の高い高級車が多数保管されています。ここで展示されている300SLは、1955年ドイツ製のクーペ。車体のフロント部分には、メルセデスベンツのブランドマークである「スリーポインテッドスター」が輝いており、本物さながらの高級感に圧倒されること間違いなし。
トヨタ博物館は愛知県長久手市横道41-100に位置し、平日の9:30~17:00の間に観覧することができます。

日本自動車博物館

日本のみならず世界的な名車を堪能することができる、日本自動車博物館。ここでは、施設全体においてさまざまなベンツブランドが保管されています。2・3階には190SLや戦後型メルセデス170シリーズなど、メルセデスベンツの時代を彷彿とさせる車種を展開。肝心の300SLは1階に展示されており、かつて俳優の夏木陽介さんが所有していたといわれる1955年の西ドイツ製。
日本自動車博物館は、石川県小松市二ツ梨町一貫山40番地に位置しており、9:00~17:00が営業時間のようです。

300SLを知りクラシックカーの魅力をさらに感じよう

メルセデスベンツ300SLは、世界初のガルウィングドアとガソリン直噴エンジンが搭載された生きる伝説。スポーツカーとしての性能にも優れ、世界的なレーシング大会で輝かしい成績を残しました。車種によってさまざまな性能や特色をもつ300SLは、今もカーマニアたちの憧れの的。世界初の試みが施された300SLに乗って、他では味わえないベンツブランドを体感してみてはいかがでしょうか。”

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