悩むロードバイクのブレーキ。失敗しないブレーキ選びのポイントとは

悩むロードバイクのブレーキ。失敗しないブレーキ選びのポイントとは

CYCLING 2018.07.09

技術の進歩に伴って多様化してきたロードバイクのブレーキ。走りに直結する重要な部分なので、失敗しない選び方をしたいですよね。それぞれのブレーキのもつ特徴やアップグレードの利点等について知り、自分に合ったブレーキは何かを探っていきましょう。

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ロードバイクのブレーキを選ぶ基準は

ロードバイクのブレーキを選ぶ際の基準は、「種類」と「グレード」です。安全性の観点からもグレードは一定以上のものを選ぶべきですが、それ以外は自分がどこまで求めるかによります。
そこそこで良いと思うなら最低限のグレード、走りを追及したいならハイグレード。種類は特にこだわらないならキャリパーブレーキ、レスポンスを高めたければディスクブレーキ…といった具合です。見た目など好みの問題もあるので、個人の求めるスタイルに応じて適切なブレーキを選ぶことが重要です。
それぞれのブレーキの持つ特徴について、詳しく見ていきましょう。

ロードバイクのブレーキの種類別の選び方

一口にブレーキといっても、その種類はさまざまです。それぞれのブレーキの持つメリット・デメリットについて詳しく知ることで、自分が求める形に一番近いブレーキを選べるようにしましょう。ブレーキの違いはロードバイクのパフォーマンスにも大きく影響します。

105以上のグレードのブレーキシュー

SHIMANOの場合、「105以上か以下か」が一つの判断基準です。
SHIMANOのコンポーネントは105以上が標準の11速、それ以下は順にTIAGRAが10速、SORAが9速、CLARISが8速という風に分かれており、105がエントリーレベルから中・上級クラスへの境目になっているからです。
ブレーキもグレードによって作りが異なっており、TIAGRA以下はブレーキシュー丸ごと交換しなくてはいけないのに対し、105以上はカートリッジ式のためシューだけの取り外し交換が可能です。そのため105以上は一度決めた位置のままでシューを替えるだけで良く、交換の手間も掛かりません。
なお、SRAMとCampagnoloのブレーキは全グレードにおいてブレーキシューがカートリッジ式のため、SHIMANOの105以上のものと同様に交換が容易で手間いらずです。

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疲れにくいキャリパーブレーキ

キャリパーブレーキは、左右のブレーキアーチが軸を支点に動き、リムを挟み込むことで制動力を得るブレーキです。
1900年代に誕生して以降、長らくロードバイクの主流なブレーキとして用いられてきました。歴史が長いため、各メーカーが試行錯誤を凝らして創り上げてきたブレーキは、上位グレードに関しては今やかなりの制動力を有するものになっています。現在では当たり前のように使われているキャリパーブレーキですが、そのメリットとデメリットは何なのか、今一度確認したいと思います。
キャリパーブレーキのメリットは、

  • 構造がシンプル
  • ブレーキ自体が小型

キャリパーブレーキは先に述べた通りの構造で、シンプルなため調整やメンテナンスがしやすくなっています。調整を適切に行うことでブレーキレバーの引きしろを少なくでき、疲れにくくなるため長距離走行に適しているのです。また、アーチ状で小型なため落車等によるダメージが少なく済みます。
デメリットは、

  • 汚れが付きやすい
  • 制動力が弱め

キャリパーブレーキはタイヤの上をまたぐ構造になっているため、汚れなどが付きやすく定期的に掃除をする必要があります。また、ディスクブレーキやてこの原理がはたらくVブレーキと比べると、構造上制動力が弱めであると言えます。

制動力の高いディスクブレーキ

ディスクブレーキとは、ホイールの中心部のブレーキローターと呼ばれるパーツをブレーキパッドで挟み込むことでホイールの回転を止める方式です。油圧式と機械式の2種類が存在します。
シクロクロスを筆頭にレースでも使用が認められるようになってきており、最近ではディスクブレーキ仕様であることを示す「DISC」と名前を冠したロードバイクも多く目にするようになりました。マウンテンバイク等のオフロード車では定番になっていますが、ロードバイクのディスクブレーキ化についてはさまざまな意見が交わされています。
ここでは、ディスクブレーキを導入する上での具体的なメリットとデメリット、油圧式と機械式の特徴について詳しく見ていきます。ディスクブレーキのメリットは、

  • 天候に左右されない高い制動性
  • ホイールへの負担軽減
  • ブレーキタッチの向上

ディスクブレーキは路面及びタイヤから遠い部分にあって水はねの影響を受けないうえ、ホイールの回転に合わせてローターが高速で回転するため水が付いてもすぐに吹き飛ばされ、雨天でも関係なく高い制動性を発揮します。
また、キャリパーブレーキと違ってリムを直接挟み込む必要がないためホイールへの負担が軽減できます。ブレーキ面の強度を気にする必要がなくなることも、リムの軽量化というアドバンテージに繋がるでしょう。加えて、油圧式ディスクブレーキではワイヤーの摩擦がないため小さな力でも大きな制動力を得ることができ、ブレーキタッチが向上してスピードコントロールがしやすくなります。デメリットは、

  • ディスクブレーキ化に伴う重量の増加
  • 怪我のリスク
  • メンテナンスの難化

ディスクブレーキの場合はホイールのスポークの本数を多くしなければならず、パーツもローターとブレーキ本体の2つが必要になり、フレームもブレーキの取り付け部分に強度が必要になるため全体として重量が増加してしまいます。
また、高速で回転するローターで体を切ってしまったり、高いブレーキ熱を持った状態のローターが体に触れてしまったり等のリスクも少なからず存在します。特に、レースにおいて集団落車等が起きた場合、そうした怪我の可能性はより高くなります。
メンテナンスについては、キャリパーブレーキとは違ったメンテナンススキルや専用の整備用ツールが必要になるため、通常のものに比べて難易度が上がります。
ディスクブレーキには、油圧で調整する油圧式とワイヤーで調整する機械式があります。どちらも同じディスクブレーキではありますが、構造の違いにより異なった性質を持っています。油圧式は、先に紹介した通りワイヤーを介さないため、機械式よりも少ない力でブレーキをかけることができます。メンテナンスは機械式よりも手間が掛かりますが、頻度は少なくて済みます。
機械式は、コストパフォーマンスに優れておりメンテナンスも油圧式より簡単です。ただ、ワイヤー式ディスクのほとんどは片側のピストンが動く構造になっており、パッドが片側だけ摩耗してしまうという事実があります。
なお、最近では様々な工夫がなされ半油圧式のようなモデルも開発されています。これからのディスクブレーキの更なる進化に期待が高まります。

ロードバイクのブレーキの交換方法

初めのうちは難しそうに思うかもしれませんが、一度方法を覚えると簡単に行うことができます。ロードバイクは基本的にシンプルな構造なので、慣れてしまえばパーツの交換もバッチリです。下記の手順に従い、一つ一つの作業を丁寧に行っていきましょう。

六角レンチとドライバーを準備する

一般的なロードバイクのブレーキを交換する際は、特別な道具は必要ありません。六角レンチ(または六角レンチドライバー)のような自転車工具用の軽微なものでOKです。

スタンドに固定してボルトを外す

最初にロードバイクをスタンドに固定します。それからブレーキ本体を抑えつつフロント、リア共に5mmの六角レンチを使ってボルトを外します。外した後はボルトを紛失してしまわないように注意してください。

シューをカートリッジから外して掃除する

105以上のグレードの場合は、シューをカートリッジから外して掃除をします。
まず2mmの六角レンチを使い、シューを固定しているボルトを緩めます。ボルトを緩めるとシューが指で動かせるようになるので、進行方向と反対側にスライドさせて抜き取ります。掃除は布等を使って汚れを落とすようにし、削れたリムの破片や砂利などが刺さっている場合にはやすり等で取り除くようにすると良いでしょう。汚れや傷がひどい場合には交換するようにしてください。
新しくブレーキシューを取りつける前には、普段それほどしないブレーキのアーチ裏やリムの掃除もついでに行うことをお勧めします。定期的に綺麗にしておくと、見栄えが良くなるだけでなくパーツ自体も長持ちするようになります。

ロードバイクのブレーキが不調な原因

ロードバイクに乗り続けていると、必ずどこかのパーツに不調が生じてしまうもの。ブレーキが不調な場合、原因としては次の3つが挙げられます。当てはまっているパターンに応じて、早めに適切な処置を行うようにしましょう。

ブレーキシューとリムの間隔の片寄り

ブレーキが不調な場合、大きな要因としてブレーキの片効き状態が考えられます。
片効きは左右のブレーキシューとリムの間隔が不均等で、片方だけブレーキが強く効いている状態です。特にキャリパーブレーキの場合、ちょっとした衝撃で知らず知らずのうちにブレーキ本体が傾き、片効き状態になってしまっていることがあります。
片効きはそのままにしておくと大変危険なので、気づいた時にすぐ直すようにしましょう。ブレーキ本体がずれている場合は、両サイドのブレーキシューの出っ張りを指で抑え、左右のバランスが均等になるように調整するとすぐに直すことが可能です。
細かい透き間の調整をする際は、3mmの六角レンチを使ってセンタリング調整ボルトを回して調整します。反時計回りに回すと左、時計回りに回すと右にシューが移動します。ホイールが振れていて片効き状態になっている場合は、振れ取りを行うようにしましょう。
まずは振れ取り台にホイールを固定し、回しながら確認します。台の左右の針のどちらかに触れていればそこが歪んでいる証拠なので、ニップル(スポークの付け根の出っ張り部分)を少しずつ回して調整していきます。針に触れている方のスポークテンションを弱く、反対側を強くすると横振れを取ることができます。調整が一通り終わったらセンターゲージを使って左右のバランスを確認しておくと良いでしょう。

フォークやフレームとの相性が悪い

ブレーキは、フォークやフレームとの相性によっても影響を受けます。ロードバイクの場合、ブランドやサイズによってジオメトリがさまざまに異なるため、それが原因で不調が生じてしまうことも。それぞれのロードバイクに応じて適切なセッティングを行うようにすると不調を解消できます。
ブレーキの音鳴りが出ている場合には、セッティングのトーインが有効です。リムの回転方向に対してブレーキシューがわずかにハの字になるように調整してください。トーインを付けることで、音鳴りを防止するのに加え通常のセッティングよりも強力な制動力が得られます。

ネジ類の緩み

ロードバイクは路面の凹凸により、常に振動が加わっています。そのため、一回一回は大丈夫でも乗り続けて何百回、何千回と振動を受けているうちに各パーツのボルトやネジが徐々に緩んできます。その影響はブレーキにも確実に及んでいるので、ネジ類の緩みがないか定期的に点検し、工具でしっかりと締めるようにしましょう。トルクレンチ等で各パーツのトルク管理を行うとより確実です。

ロードバイクのブレーキを整備するポイント

ブレーキは非常によく使う部分なので、適切な整備をしないと思わぬ怪我やトラブルに繋がりかねません。下記のポイントを意識しながら整備を行い、常に最高のブレーキングパフォーマンスを発揮できるようにしておきましょう。

洗車や注油時に点検を行う


ブレーキを整備するポイントとして、洗車や注油の際にセットで点検を行うようにしましょう。安全に直結する部分なので、こまめな点検が必要です。
ブレーキシューの固定ボルトは緩んでいないか、正しい位置にセットされているか等確認するようにしましょう。特に、ブレーキは使っているうちにブレーキワイヤーが伸びたりシューが減ってきたりしてクリアランス(ブレーキシューとリムの透き間)が大きくなることがあります。クリアランスが大きくなるとブレーキがかけにくくなるため、適切なセッティングをしておくことが大切です。
具体的なセッティング方法としては、アジャスターで調整する方法とブレーキワイヤーのテンションを直接調整する方法があります。アジャスターで調整する場合は時計回りに回すと大きく、反時計回りに回すと小さくなります。
ブレーキワイヤーから直接調整する場合は、固定ボルトを緩めておき、手で両サイドのブレーキシューを適切な位置にセットした状態で再度固定ボルトを締めます。ブレーキワイヤーの調整で済ませられれば基本的にアジャスターによる調整は必要ありませんが、微調整を行いたい場合は使うことをお勧めします。シューとリムの幅は左右1.5~2mmほどを目安に設定しておくと良いでしょう。
もう一つ、忘れてはならないのがブレーキワイヤーの交換です。ブレーキ本体と同様、走り込むうちにブレーキワイヤーも消耗しますので、1万kmほどを目安に交換するようにしましょう。ブレーキワイヤーが劣化してくると、操作感にも影響が出てしまいます。ブレーキワイヤー単体だと費用もそれほどかからないので、定期的に交換しておくと良いでしょう。

ブレーキシューの交換目安は半年

ブレーキシューはブレーキをかけるたび、リムに削られています。一般的にはシューの溝がなくなってくると交換の目安とされていますが、安全を優先すると半年で交換するのが理想的です。
ロードバイクに乗り続けていると、ブレーキシューには削れたリムの金属片や砂利など大小さまざまな破片が表面に刺さったり埋まったりします。これらが原因となってリムを傷つけてしまう可能性があるため、半年ほどを目安に新しいものに交換した方がより安全なのです。
逆にリムの表面がささくれていたり傷が入っていた場合、シューの消耗を早めてしまうのでサンドペーパー等で表面を滑らかにしておくと良いでしょう。ただし、これはリムの表面を削ることになるのでやりすぎには注意してください。

動作が遅い時は注油する

ブレーキの動きが悪く感じる際は、ブレーキの可動部、ばね部分に注油をしてみるとよいでしょう。注油の際のオイルは自転車用のものがベストです。オイルの油分がブレーキシューに付着してしまうと制動力が著しく落ちるため、注油は布等をブレーキの裏側から当てた状態で行うようにしましょう。
ブレーキ自体も消耗品なので、動作が遅いと感じる時以外も時々注油することをお勧めします。定期的にメンテナンスを行うことは、パフォーマンスを向上させるだけでなく寿命を延ばすことにも繋がります。

ロードバイクのブレーキを強化する利点

パーツをアップグレードすべきか否か、悩んだ経験がある方も多いのではないでしょうか。アップグレードで実際どう変わるのか、何が良いのか。ここでは、ブレーキのアップグレードにスポットを当てて見ていきます。

交換費用が抑えられる

105以上にグレードアップするとブレーキシューだけの交換が可能になり、丸ごと交換するのに比べて費用が安く済みます。ブレーキ自体の性能の良さから考えても、グレードアップするのは大いに意味があると言えます。
しかも、ブレーキはグレードの高いものほど耐久性も高くなっています。後々使い続けて交換することを考えると、安めでグレードの低いものを選んで何度も買い換えるよりも、少し高めでハイグレードのものを選んだほうが交換頻度も少なくなり結果的にコストを抑えられます。

制動性がアップする

SHIMANO、SRAM、Campagnoloともに、コンポーネントの性能はグレード間で顕著に差がつけられています。
ブレーキもまた然りで、グレードによって制動性に違いがあります。SHIMANOに関して言うと、TIAGRA以下のブレーキは片側のアームが長くなっている構造なのに対し、105以上はアームが左右対称なデュアルピボットの構造になっています。これにより、パワーロスの無いブレーキタッチと片効きのなりにくさ両方が追及され、操作性が大幅に向上しています。
加えて、ブレーキには剛性と軽量性の違いがあり、高価なパーツほど剛性と軽量性が上がります。高速で走行するロードバイクはブレーキにかかる負担が大きく、少しずつブレーキ自体に歪みが生じて制動性に影響が出てしまうため、剛性は特に重要なポイントです。
ブレーキをグレードアップすることで、制動性をアップさせることができます。

そこまで予算がかからない

ロードバイクのパーツのアップグレードは高くつくイメージですが、ブレーキは比較的低予算でアップグレードができます。

マノブレーキ 105 BR-5800


実際、105のブレーキ前後セットはAmazonで7000円ほどで購入可能です。

シマノ BR-R8000


もう4000円ほど出せば、さらに性能の優れたULTEGRAのブレーキが購入できます。
なお、105でも十分な性能を誇りますが、予算があればULTEGRAに交換することをお勧めします。特に、現在のR8000系のULTEGRAはDURA-ACE(R9100系)の後継モデルであり、剛性や操作性等の面から考えても非常に信頼のおけるものと言えるでしょう。安全性の観点からも、少し余分にお金を出してハイグレードモデルを買っておいて損はありません。

幅広いスピード域に対応できるようになる

ブレーキはグレードごとに想定されているスピード域が異なっています。スピード域は重要なポイントで、ロードバイクの運転時の感覚にも大きな影響を及ぼします。ここでは車を例に挙げて考えてみます。
軽自動車とスポーツカーで高速道路を走る場合を想像してみてください。スポーツカーだと時速100kmを超えても至って安定した走りを見せますが、軽自動車で時速100km前後で走り続けているとあまり安定感がなく少々不安を覚えますよね。
これは軽自動車が最高速を低めに設定されているのに対し、スポーツカーは時速200~300kmを最高速として設定されているからです。つまり上限に余裕があるため、同じ速さでも安定感を持ってより安全に操縦できるわけです。
同じことがロードバイクにも言え、性能が良いブレーキほど幅広いスピード域に対応できます。高速域からの減速の際、その性能の差は顕著に感じられるでしょう。

さまざまな種類のブレーキがある

ロードバイクのあり方が多様化した現在では、ブレーキも基本的なキャリパーブレーキからエアロVブレーキ、ディスクブレーキまでさまざまな種類のブレーキが存在しています。また、そのブレーキの中でもグレード等によって機能性や操作性が異なっており、どれにすべきかすぐには決められないかもしれません。
大事なのは、それぞれの特徴やメリット・デメリットを知り、自分のロードバイクに合ったものを選んで使うということです。
ただ、ブレーキは命に関わる重要なパーツなので、性能のことも考えてできるだけハイグレードのものを選ぶようにしましょう。レースに出たりするわけでなくても、下り坂で予想以上にスピードが出たり、とっさに止まる必要がある際に確かな安心材料になってくれます。自分にとってベストなブレーキを選び、これからのロードバイクライフをよりよいものにしていきましょう。

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